「…ってわけだ。ま、明日の依頼も単純な山賊退治だ。ちび達も一人前だ。心配いらねえよ。
軽く片付けてくるぜ。っと、そういや、ヘルゲンのこと気にしてたよな?
久々にあんたもいってみるか?」
「心配してはいないさ。――そうだな。起きられたら。」
「何いってんだよ! いっつも夜明け前には起きてるくせに!
さすが年寄りの朝は早い って、あぶね! 籠手を投げるなよ!」
「ついでにエオルンドにあずけておいてくれ」
「へえへえ。人使いが荒いこって。まあ、早く寝ろよ。じゃ、明日の朝な」
「騒々しいやつだ。 ……。」
「起きられたら、か。」

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「おーい、シグルド〜 出かけるぞー 本当にまだ寝てるんじゃねえだろうな〜
籠手はエオルンドに預けたけど、別にどこも悪くないつってたから、直に話…
…って、おい!?」
「うそだろ… おい、シグルド…! 冗談きついぜ!
うそだろう?」
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( 血… 爪が剥がれてる… 黒の書…… なあ…
盾の兄弟なしに動くなって口を酸っぱくしていってたのあんたじゃねえかよ…
なんで…なんでひとりでいったんだよ…)
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「最近疲れがたまっているようだったからな…。
だが、らしいと思わないか? 最後まで敗北せずに逝った。オーズ、もう休ませてやれ。」

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(20年も一緒にやったのによ、結局何も言わずに全部自分で決めちまうのかよ… …知ってたけどよ…)
「オーズ。これをもっていけ」
「エオルンド。…あ、この籠手」
「お前にあわせて打ち直しておいた。お前に預けたというのは、そういうことだろう」
「普段武具を雑に扱う人じゃねえのに、変だとは思ったんだよな。どこも痛んでねえし…。
似合わねえよ、これ、俺には。なあ…」
シグルドは次元融合を止めるためにハルメアス・モラと取引をして死ぬ。
『同胞団の偉大なる導き手』には、病死と書かれている。